羊水の海へ。初夏のプールあそび。

先週末、3階屋上プールの大掃除を先生たちと行いました。側面のカーテンが開いた時の見晴らしは、青空と緑とお寺が(さらに奥にはハルカスが)奏でる「絶景」です。いよいよ今週はここで、こどもたちの歓声と水しぶきが上がります。

ところで、なぜ子どもは水あそびを好むのでしょうか。この世に生まれる以前、母の胎内にいた頃、包まれていた羊水の感覚を思い出すのでしょうか。

羊水には多様な役割があります。クッション作用と抗菌、胎児が自由に動き回る運動空間でもあり、また肺を動かして呼吸運動の練習をくり返しているともいわれます。

もうひとつ羊水には、ことばを伝えるだいじな役割があります。妊娠して18週あたりから、胎内ではすでにことばの獲得も始まっているのです。

最初は母親の体内の音である心臓の拍動や血液の流れる音、さらに外部の音、母親の声や母親の聴いている音楽、父親の声など、母親の骨を通して、羊水を伝わり、子どもの聴覚に届いています。いえ、「耳で聴いている」というより、羊水の振動によって音を小さな全身で感じ取っているといったほうがよいでしょう。

さらに、胎児はただ母親の声を一定の音で認識しているのではなく、その音調、抑揚やリズムを聞き分け、音の表情で感覚や感性を育んでいます。胎内で聴いていた「よしよし」という母親の声を、最初はやさしい音調で受容しているが、脳が発達するにつれ、音は次第に意味を伴い、ことばとして捉えられるようになります。

子どもが水あそびを好むのは、胎内回帰の記憶と、ことばの発達の原初の記憶を思い出すからでしょうか。

園でのことばの活動も、まず意味ではなく、音読や暗誦、素読など「音」を優先します。ことばは「声に表す」ことによって、情感、語感、ニュアンス、リズムを伴います。幼児にとって、ことばの体験のはじまりとは胎児と同様、ゆたかな身体感覚の目覚めをいいます。
だとすれば、プールがそうであるように、園の教室も母なる胎内に似た空間だといえるのかもしれません。

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