幼児期にこそ生活教育を。小学校の問題行動に思うこと。

10月末に文科省から、「小中高の問題行動調査」の統計が発表されました。残念なことですが、いじめ、不登校、暴力行為など、すべて増加傾向にあり、とくに小学生では過去最高を記録しています。

小学校のいじめでは昨年比3万件近く増えて15万件、(90日間休んだ)不登校の子どもも2万7581人で過去最高、その理由は「不安傾向」や「無気力傾向」が多く見受けられます。

生徒同士や教員などに対する暴力行為の発生件数は1万7137件、こちらも過去最高で、とくに小1、2年生は昨年から倍増傾向にあるとのこと。その原因について、学校現場からは、「家庭の教育力低下や感情をコントロールできない子どもの増加」が指摘されているとか、何とも暗鬱な気分になります。
 
むろん万能の解決策があるわけではありません。学校教育の、いや日本の社会全体が背負うべき課題であって、ここで先生を批判してもはじまりません。

私が気になるのは、問題行動の低年齢化です。小1プロブレムは以前から指摘されていますが、すでに就学時からの問題として顕在化しています。つまりそれ以前の、幼児期の教育が、問題行動の鍵を握っているといえるでしょう。

いえ、だから早くからの知能教育がよい、というわけではありません。勉強めいた教育ばかりがもてはやされ(加熱する英語教育の早期化も含め)、それが子どもの新たなストレスの要因となっていることも明らかです。幼児教育の王道は、生活教育にあり、毎日の生活を通して経験する、学ぶ、考えるということをもう一度思い返すべきではないでしょうか。

生活とは、文字通り生きて活動することであって、生活教育はけっして、しつけや習慣だけをいうのではありません。幼児の場合、園で学ぶ、人間関係も、規律や規範意識も、「もじ・かず・思考」も、全て生活経験の中で得られるものであって、それをしてはじめて園という集団生活の場が必要となってくるのです。逆に効率や成果だけを求め、便利に溺れている私たちが、生活像のあるべき姿を見失いつつあるともいえるでしょう。

最近とくにいわれる幼児期の「非認知能力」も、けっして学力・知力をいうのではありません。自己を抑制したり、他者と協調したり、そういった効率面では測定しようのない能力を、生活面からとらえなおそうとしています。
 
日本的には昔からいわれてきた「意欲・心情・態度」といったものを、どう育み、どう就学後の心の安定へとつないでいくのか、小学生以前に私たちが努めなければならないことはたくさんある、と思います。

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