総幼研の教育活動を、脳科学で読み説く

(社)国際知的財産研究機構・主任研究員の柳澤弘樹先生による研究報告

第2回研究事業では、第1回の実験データの信憑性をあげるためにサンプル数を増やし、全国各地の総幼研5園で実験を行いました。総幼研教育の根幹ともいえる日課活動はもちろんのこと、その導入活動でもある瞑想との関連についての科学的な検証を目的といたしました。実験は、(社)国際知的財産研究機構の主任研究員柳澤弘樹先生がご担当くださいました。

子どもの前頭前野の測定には、多チャンネル式近赤外線分光法装置を用いて、パドマ幼稚園で試験的調査を実施。今回、その結果から日課活動中に活動がとくに高い領域ROI(region of interesting)を定め、ポータビリティに優れたNIRO‐100を使用し、子どもの日課活動中の脳活動を測定いたしました。

このたびの実験によって得られた成果は以下の通り。

  1. 日課活動の前に体育ローテーションを行うことによって、脳の基底状態が高まり、日課活動の内容が効果的に身につくようになる。
  2. 体育ローテーション後、日課活動の前に1~2分間の瞑想を行うことで、日課活動の序盤から高い集中力が発揮され、持続されることがわかった。
  3. 日課活動直前に瞑想を行えば、日課活動の開始から20分経過をしても子どもたちの集中力は持続される。ただし一つひとつのメニューを細かく区切り、メリハリをつけて集中力を途切れさせないようにするとよい。
  4. 瞑想は一人ひとりの集中力を高めるだけでなく、集団としての雰囲気づくりにも効果的である。
  5. 日課活動に登場することばが、子どもたちの潜在意識化に取り込まれる。ことばによって子どもの人格がつくられるために、日課活動の中で与えることばは重要である。

(社)国際知的財産研究機構 脳機能研究所 主任研究員
柳澤弘樹(やなぎさわ ひろき)先生

●筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程修了、同大学院博士特別研究員、独)食品総合科学研究所食認知研究部門特別研究員、公財)体力医学研究所研究員を経て、現職。社)国際知的財産研究機構脳機能研究所主任研究員、NPO法人運動保育士会理事、こどもプラス株式会社取締役。
従来までの体育、スポーツを幼児の発育発達に合わせた形で提供し、認知機能の向上、心の発達を脳科学的な 視点で研究を行う。研究テーマは、「身体活動と脳機能」。また、発達障がい児に対する運動の有用性に関する研究も手がける。

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