令和3年度 総合新任研修会 開催報告

令和3年度の総合新任研修会は、令和2年度に引き続きオンライン形式での開催となりました。好評いただいた昨年同様、動画視聴による理念研修の後に、実技指導をZoomにてリアルタイムで行う2段階の開催方式で実施。今回も理念と実践の双方を学ぶことができる研修プログラムとして構成されました。

まず、参加者は総幼研教育の基礎基本を学ぶ入門テキストである『学びあいの人間教育』を通読後、総幼研会長の秋田光彦先生による理念研修動画のオンデマンド視聴を通して、総幼研の理念を学びました。理念研修の講題は『みんなでつながる、こころをはぐくむ~総幼研教育入門』。「教えない教育」、すなわち教える構えをもたずに子どもたちと共に楽しむことがたいせつであるといった内容を入り口に、総合幼児教育の基本的な考え方や、先生にとって大事な心得を中心にお話しいただきました。

日課活動のねらいや目的を学んでいく場面では、パドマ幼稚園の実際の保育を動画で見ながら解説いただくことで、具体的なイメージを共有しながらの紐解きとなりました。「非認知能力と認知能力」「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」といった今日的なキーワードにも触れながら、総幼研教育の変わらない根っこの部分、保育の実践のまさに芯となる基本理念について、理解を深める60分となりました。

そして、理念を深めた後日に受講するのは、総幼研インストラクターの岡田都世子先生と浜田智峰先生が講師を担当する実技指導プログラムです。こちらの研修では、Zoomを利用したオンライン上、リアルタイムの学びが展開されました。北関東、関東、近畿、九州といった全国各地から参加した先生方が、ひとつの画面に映って「総幼研教育」という共通の学びを共有する。これは、オンライン研修ならではの光景です。総幼研でもコロナ禍をきっかけに様々な研修会や催しをZoomにて開催してきましたが、時間にも場所にも制約されない学びのあり方は、総幼研の「つながり」の可能性を改めて感じさせるものでした。

実技指導の具体的な内容としましては、午前・午後の部の1日を通して『総幼研ハンドブック』『未満児ハンドブック』を用いて、学齢ごとの特徴や、その学齢に応じた働きかけや活動のポイントなどを学んでいきました。さらに、理念研修での学びを踏まえ、総幼研教育における各活動のねらいやすすめ方を丁寧に確認しながら、実習が進んでいきました。参加者が子どもになりきって日課活動を行う場面では、体験を通して模倣する喜びや楽しさを体感しました。さらに、未満児の日課活動については活動の一連の様子を動画で学び、見終えた後の説明を通して、発達にあわせた取り組み方のポイントなどについて、学びを深めていきました。カード練習の時間では講師の先生と共に、めくり方、準備の仕方、片づけ方、子どもたちとの応答のタイミングなどをひとつずつ確認していきました。

Zoomによる研修の大きな特徴として、カード練習などを行う自分の様子をカメラに映して確認できること、また運営や講師の側からも、受講中の先生方の表情をはっきりと確認できることがあります。講師の先生方のアドバイスをもとに、時間いっぱいまで自分の姿を熱心に見ながらくり返し練習する様子や、発表する他の参加者を集中して見つめる様子。ハンドブックには載っていない、講師が説明する細かな配慮や知識を一生懸命書き留める姿はもちろんのこと、誰かがアドバイスを受けている時も自分事として捉え、自分の映っている画面で、同じように確認する参加者の姿が多く見受けられました。画面越しに各々の受講の様子が見えるからこその、相互の刺激による学びの深まりが確かにあったように感じられました。充実した研修のさいごには、パドマ幼稚園で働かれていた岡田先生、浜田先生がご自身の新任時代や体験についても触れながら、参加者にむけた熱いメッセージをお話しくださいました。

今回の総合新任研修会は、100園286名の先生方にご参加いただきました。コロナ以前、リアルで実際に集まっての集合研修では、集団で行う日課体験によって、子ども役の参加者と保育士役の講師の勢いある声が会場に響いていました。一方で、オンライン開催という状況では、一斉にマイクをオンにして発声することはできません。ですが、参加者の先生方からは「画面上、手元や表情が大きく見えるので、まるで講師の先生から1対1で指導してもらっているように感じた」「全国の他に参加している先生の発表の様子もはっきり見ることができ、個別にアドバイスを受けている内容も聞くことができるのでとてもよかった」といった、オンライン開催だからこその利点を活かした「つながり」を感じさせられる感想をいただいています。

既に理事会にて、今年度の総合新任研修会についても、オンライン開催とする旨が決定されています。これまでの経験を活かしながら、よりよい研修内容や運営となるよう、検討を行ってまいります。改めまして、ご参加いただきました先生方の園でのご活躍を祈念いたします。また昨年度に引き続き、総幼研活動の写真や動画を提供いただいた会員園の皆さまに、心より感謝申し上げます。

 

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