ハンドブック改訂。 園長の「ことば」が総幼研を生かす。

■保育者の問いをひらく
このたび総幼研ハンドブック(以下、HB)が改訂されました。「教育方針」や「先生としての心がけ」を含めると足掛け3年に及ぶ改訂作業がこれにて落着しました。
改訂とは単なる文章の更新ではありません。総幼研がこれまでたいせつにしてきた教育の意味を、あらためて問い直し、次の世代の保育者に手渡すための作業でもありました。今回の改訂では、理念と実践の関係を整理し、日々の保育の中でより使いやすいかたちへと整えることを目指しました。総幼研の教育の本質を保ちながら、その意義をより伝わることばに整え直したものといえるでしょう。
しかし、HBは完成した段階で、意味を持つわけではありません。各園で読み返され、日々の実践の中で使われてこそ、ほんとうの価値が生まれます。テキストがあること自体ではなく、それをもとに実践が広がり、互いに学び合うところに力があります。各園で使われ、語り合われ、経験が積み重なることで、総幼研の教育はさらに豊かなものになっていきます。HBの普及と実用こそが、総幼研の活力を生み出す源泉なのです。
今回の改訂で大きな柱となっているのが、「ねらい」の整理です。活動や教材一つひとつに「ねらい」を配置しています。「ねらい」は「答え」ではなく、むしろ、それを手がかりにいまの保育を考えるためのヒントといった方がふさわしいでしょう。この活動は何を育てようとしているのか。子どもたちは何を感じ、何を経験しているのか。そうした問いを立てながら実践を見つめ直すことによって、現場の理解が深まり、
保育者に腹落ちしていきます。「ねらい」とは、保育を固定するものではなく、保育者の問いをひらくものなのです。
その問いを園の文化として育てていくうえで、最も大きな役割を担うのが園長先生ではないでしょうか。

■現場発の教育を語る
総幼研の教育は、法令や制度として扱われているものではありません。園長がHBからどのように汲み取り、ことばで語り、姿勢で表すかによって、園の実践の意味は大きく変わります。主任クラスに直で示すことからでもいいでしょう。
HBを配るだけでは教育は動きません。「なぜ総幼研を行うのか」「この実践にはどんな意味があるのか」「私たちはどんな園を目指しているのか」。その問いを園長が語り続ける時、総幼研は園の文化(のひとつ)として根づいていきます。
また、総幼研の教育は、学問研究があって完成されたものでもありません。40年以上の間、保育の経験の中で問い続けられ、語り継がれることで育ってきた「現場発の教育」です。この度の改訂にあたっていただいた総研やインストラクターの先生方はもちろん、ここにいたる多くの先輩方の熱意と敬愛があってこそ、はぐくまれてきたものです。今回のHBが、さらに次の世代へつなぐ、その架け橋となることを心より願っています。
間もなく新年度がスタートします。まずは新しいHBをひらいて、身近なところから読み合わせをしてみてください。そこで生まれた小さな問いから、保育者どうしの話し合いを進めてみてほしいのです。発見や共感をたいせつにしてください。それこそが総幼研の学び合う先生集団の真の姿です。