2学期。仲間関係、成熟の季節。

 2学期は丸々4ヶ月という長きにわたりますが、子どもたちは運動会を境にして著しい発達を見せます。1学期で蓄積されたエネルギーを、満を持して放出する季節とでもいうのでしょうか、その動力源となっているのが、クラス集団の信頼感であり、仲間意識です。
 人間は幼い時から、何かに帰属して生きています。幼児であれば、まず親子であり家族であり、そしてその次に出会う幼稚園・保育園のクラス集団は、子どもたちにとって生きる拠り所といってもいいものです。

 残念なことですが、何かに帰属していれば安心である、信頼しあっているとは言い切れません。いじめは、帰属するクラスメートの関係をねじ曲げるし、虐待を受けて家族から断絶させられる子どももいます。別の言い方をすれば、帰属しているからこその幸福感、「この家族でよかった」「このクラスでよかった」と思えるような信頼感をどう育んでいくのか、幼児教育にはそういうだいじな使命があります。

 当園、パドマ幼稚園の年長さんの保育参観で、跳び箱の活動を見ました。12段の跳び箱に挑戦する子どもたちと、そのチャレンジを口々に応援する子どもたち。
 「○○ちゃん、がんばってー!」
 跳び箱自体は個人技ですが、大勢の子どもたちの熱い声援と響き合い、クラス集団の仲間意識がありありとうかがえました。幼児にとって発達とは、けっして個別のものとしてではなく、仲間や集団との好ましい関係性の中で育まれていくのだと改めて感じたのでした。
 ひとりの子どもができた、できないではなく、みんなと響き合うことで得られる達成感、充実感。妙な例え方ですが,跳び箱を跳べなくても友だちと一緒に跳んだような気分とでもいえるでしょうか。子どもは、みんなともまれながら発達していくのであって、それが園生活の醍醐味でもあり、総幼研教育の魅力もそこにあります。
 「ひとりではできないことも、みんなとならできる
  みんなとできることは、やがてひとりでもできるようになる」

 2学期は、どちらの園でも大きな行事が続きます。それを難儀とするのではなく、仲間関係の成熟の季節ととらえ、子どもたちとともに楽しんでいきたいと願っています。

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