昨日と「違う」。家庭と「違う」。「違い」をよろこぶ。

わたしのパドマ幼稚園では、先週、新年度初の教育懇談が終わりました。保護者にとっても、担任にとっても初めての対面、いろいろと有意義な話ができたのではないでしょうか。
さて、その内容ですが、とくに入園、進級間もないこの頃は、「園でもしっかりやっているのかしら」と保護者の不安も小さくないようです。
担任から園でのようす、クラスでの活発なようすをお伝えすると、「安心しました」と笑顔を見せられることも。最初の教育懇談は、いわば園と家庭の、ふたりの子どもが出会う場所なのかもしれません。

常々申し上げていることですが、子どもは、今、園と家庭のふたつの世界を行き交っています。
家庭では存分に保護者の愛情を独占しますが、園は世界が異なります。集団、仲間、先生、規律やルール、そしてさまざまな活動。
しかし、最年少の2歳児だって、登園間もない時間帯は泣く子もいますが、日課活動が始まると、ピタッと泣きやんで、活動に集中します。
人間は本能や感情のまま生きているのではない。模範としての先生がいて、親しい仲間とともに、心地よい関係を醸し出せば、誰もが自ずと活動に参加していく本性を備えています。もっと動きたい、もっと話したい、もっと歌いたい、そんな「発達願望」が園生活では如実に発現されていくのです。
また、園では、何でも自分の思い通りにはなりません。だが、だから一人ではできないことが、皆と力を合わせれば、できる。自分は集団の一員である、という自覚。
その共同の喜びこそ、社会的存在である人間性の本当の目覚めなのだと思います。

幼児教育とは、家庭と園が両輪の輪となって、子どもを育むものです。このたびの教育懇談は、ご家庭でのお子さんのようす、園でのようす、をそれぞれ話しあい、その「違い」をむしろよろこんでいただきたいのです。「違い」は矛盾ではありません。いや、その「違い」こそ、わが子の成長の証左であり、また将来果実となる立派な種なのです。
 
昨日、泣いていた子どもが今日は泣かなかった。昨日、カードを見ているだけの子どもが、今日は初めて言葉を唱えた。食べられなかった給食を、口にすることができるようになった。
園生活は、目には見えない小さな成長の連続です。昨日と「違う」、家庭とは「違う」、もうひとりのわが子がそこにはいます。
その「違い」こそ、子どもの成長として受け止め、どうぞ今後の園生活にご期待ください。

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