自園の教育を客観視する。 外部に向けて紐解く、総幼研教育とは。

メディアの思い込み

読売新聞の教育面に「模索する幼児 教育」として7回の連載(全国面)がありました。1回めのリードはこうです。『自制心、協調性……学びの基盤に 幼稚園や保育所、認定こども園の教育要領・保育指針が一斉に改められ、2018年度から新しい取り組みが始まる。粘り強さや協調性といった「非認知能力」の育成が注目される一方、学力向上にも根強い人気がある幼児教育……』さすがに7回のシリーズで現代の幼児教育のトピックスを手堅くまとめているのですが、幼児教育の中身については、「非認知能力」を初回に掲げながら、「自然教育」と「早期学習」を真反対の教育であるかのように取り上げています。

「森のようちえん」の紹介では、通念として「健康な心と体」「自立心」が取り上げられる一方、「早期学習」ではフラッシュカードや器楽合奏などが「小学校の先取り学習」として扱われます。設定よりも自由、知育よりも情操といった、取材者の明確な意図が記事の中に現れています。 数々の科学的エビデンスが子どもの発達観、幼児教育観に大きな影響を与えつつあるというのに、全国メディアでも、一方的な思い込みからなかなか逃れることができていないのです。

自ら総幼研を読み解く試みを

メディアは、幼児教育の善し悪しを判定する機関ではありません。言い換えれば、かような報道は、やはりまだまだ私たちの実践が世間において正しく理解されていない証左でありましょう。いや、それもやむを得ないのかもしれません。自戒を込めて思うのですが、 われわれ園長たちはその理論や方法論を保護者や総幼研の仲間には語ってきたが,外部に向けてどれほどコミュニケーションを試みてきたでしょうか。

あるいは、現代の教育動向や傾向に照らして、総幼研を読み解いたり、発信してきたでしょうか。30年前のことばが今でも難なく通じるのだとしたら、それはすでに動脈硬化を来しているといってよいかもしれません。あるいは地域の養成校などと協働して、自園の教育をよい意味で客観化してみてはどうでしょう。新たな発見があるはずです。

大胆かもしれませんが、グローバル化と人材不足に直面する企業人などの目には、総幼研教育はどううつるのでしょうか。メディア受けするような言動は、すぐ飽きられます。重要なことは、総幼研教育が金科玉条になってしまうのではなく、たえず社会の動き・考えに応答しながら、自ら上書きを重ねていくことではないでしょうか。
 
総幼研教育とは「健康な心と体」「自立心」を育む自然教育である—。

幼児教育への関心や期待が高まる現代にこそ、そんな「仮説」をもって、じっくり取り組んでいきたいものです。

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