過日、昨年に実施されたPISA(国際学習到達度調査)の結果が公表されました。おなじみになったOECD(経済国際協力機構)主催の世界統一学力テスト(世界79ヵ国、60万人の15歳が参加)、今年も日本は「数学」「科学」では健闘するも、「読解力」の下降は歯止めがかからず、過去最低の15位という結果に終わりました。そもそもこの手のランキング、どこまで意味があるのか異論のあるところですが、メディアではこれまで同様にSNS批判と、本や新聞の習慣の必要性をくり返しています。曰くLINEで短文しか読まないから深い読み込みができていない。読書率は世界最低クラスで、チャットはほぼ毎日(87.4%)と世界一ですから、それはごもっともなのですが、幼稚園の園長の立場からすると、15歳にしていまさら読書の習慣を、といってもむずかしい気がします。
もはや小学生のほぼ半数がスマホを所持している実態からいうと、もっと早期からの言語環境、読書習慣を見ていかないと、闇雲にSNS批判をしていても後顧の憂を残すばかりでしょう。
もちろん幼児の段階から読解力など求めるべくもありません。まず身体づくりこそ基本ですが、同様に幼い時からの絵本活動、作文活動、ことばあそびなど早期の経験があるなしは将来に大きな影響を及ぼすことでしょう。それ以上に、子どもどうしがことばを使ってかかわったり、伝える・教える・考えるなど、そういった言語力の芽生えは、いわば将来の読解力の出発点として価値あるものでしょう。そこから毎日の幼稚園活動を見直すと、毎日の絵本読みの習慣はいうまでもなく、古典の語感に親しむ音読・素読や、情感を歌い上げる歌唱も、読解力へのリソースといって差し支えありません。
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